でも、どうして、汗をかくと水分量が上がったり、キメが整うなど美肌効果が得られるのでしょうか。

 

「汗の中には、さまざまな天然保湿因子が含まれていて、乳酸ナトリウムにしても尿素にしても、水分を皮膚にしっかりとキャッチしておくよう、皮膚が潤った状態を維持するのに貢献しています。」(長崎大学皮膚科教授・室田教授)

 

汗腺からでてくる汗には、水分だけでなく、「乳酸ナトリウム」や「尿素」が含まれています。

 

これらの成分は、蒸発せずに皮膚の角層に浸透し、お肌の乾燥を防いでくれます。

 

この2つ、化粧品などにも含まれる成分。
つまり、汗というのは、天然の美容液なんです。

 

「角質の中にどんどん(成分が)補給されることによって、保湿、抗菌、アレルギーに対する抵抗性を獲得できます。しっかりと汗をかけることによって、皮膚はかなり健康な状態を維持できるようになっています。」(室田教授)

 

先ほどのスパで汗をかいてる人たちにも汗の効果を聞いてみました。

 

「乾燥したり、顔ががさがさすることはありません」
「ニキビができにくくなった」
「肌はすごくいい。うれしい」

肌が変わったと実感しているようです。

 

いい汗は天然の美容液

 

肌トラブルを解決する力があるんです。

汗の美容液効果

①保湿

②皮膚のターンオーバー

③殺菌効果

 

「まず、汗には乳酸ナトリウムや尿素が含まれ、水を抱き込んで、そこに保持させるという役割がありますので、 汗をかくと皮膚が潤うということになります。そして、もう1つが、皮膚のターンオーバーということなんですけれども、皮膚の表面を覆う角質層は、日々生まれ変わっています。汗の中にはこの古い角質を剥がすことに役立つ酵素が含まれてまして、非常に役立つということになります。もう1つは、殺菌効果というのが非常に大切で、汗には殺菌作用のある成分が含まれているので、例えば、病原体とか、病原性を持つような細菌を殺菌するのに役立つことになります。ですから、汗というのは、効率よく働いているということなんです。

 

(では汗は拭かない方がいい?)

こういった汗のメリットというのは、実は時間とともに損なわれてきます。ですから、長く置いておくと効果がでるというものではなくて、例えば、細菌が発生する原因となったり、汗の中に含まれる成分が、細菌で分解されることによって、汗のにおいにもつながって来ますので、余分にかいた汗は、拭き取ってしまうのがいいと思います。できれば、シャワーで流したほうがいいです。サウナで汗をかいてる状況の中では、自然に汗が角質の中に溶け込んでいますので、それを、皮膚の表面に残った余分なものを洗い流すのは、いいです。」(室田教授)

 

でも、いったいなぜ汗が肌を守る力を持っているのでしょう?

 

「進化の過程で、我々は、体毛がなくなってきました。体毛は、恐らく皮膚を守っていたと思われますが、それがなくなると、皮膚を守るものがなくなります。体毛の退化とともに、汗腺を獲得しているので、それからすると、体毛の代わりに、汗を使って皮膚をケアしてきたのではないかと思います。」(近藤教授)

汗にはもともと悪い成分は含まれていないのだそうです。(しのぶ皮膚科院長 蘇原しのぶ先生)

 

「汗の成分は99%が水で、残り1%は塩分などです。汗がにおうのは、汗そのもののニオイではなく、皮膚の皮脂やホコリなどの汚れを皮膚にいる『皮膚常在菌』が食べて分解することで作り出すニオイなのです。

 

通常、エクリン腺という汗腺から出る汗は無臭です」

 
 
 
<汗の成分>
・水 99%
・塩分など 1%

そして、汗には保湿効果もあるといいます。

 


 

「汗は体温調節のためにかくものですが、皮膚に水分を補給し、肌にうるおいを与える働きもあります。また、一度汗をかくとまたその汗が皮膚に吸収され、保湿されます。

 

『皮脂』という皮膚表面にある脂がほどよくあれば、『皮脂膜』という肌を保護する薄い膜がで形成されて、肌を乾燥から守る働きをしてくれます」

 

汗が「天然の美容液」といわれるのは、このことが理由だったようですね。