自律神経を整える⑤つの方法
① 正しい姿勢、深い呼吸
一つ目は、「正しい姿勢を意識し、深く大きい呼吸をする」こと。
正しい姿勢を保つことで脳脊髄(せきずい)液の流れをつくることが重要です。
脳脊髄液とは、脳から骨盤の骨である仙骨までを循環する体液で、脊髄の中にある神経の新陳代謝を促す役割があります。
脳脊髄液の流れが悪くなると、自律神経が栄養不足になり、老廃物がたまって内臓の機能などが低下します。
頭痛やめまいの原因にもなります。
体のゆがみは、脳脊髄液の流れを悪くします。
例えば、パソコンやスマホの画面を見て長時間下を向いていると、猫背になり脊椎(せきつい)のゆがみをしましつくってしまいます。
うつぶせ寝も片方の首の筋肉が硬くなり首の骨がゆがむ原因にもなりますので、普段から正しい姿勢を保つことが大切です。
深い呼吸をすることも脳脊髄液の流れをよくするには大切です。
深く呼吸すると、肺を保護する胸郭を開いたり閉じたりするため、背中や肩、首の筋肉を動かすことになる。
その結果、脳脊髄液を体内でしっかり流すことができます。
このときの呼吸は、腹式ではなく胸式で行います。
吸うほうではなく、吐くほうに意識を集中させる。
息を吐ききって大きく吸う。
これを普段から無意識にできるようにしていけば自然と自律神経が整うのだそうです。
② リラックス
リラックスさせる情報が脳に入ると、副交感神経が働いて筋肉は緩みます。
陥りやすい思考パターン
自律神経を乱している人は、自分自身の考え方でストレスを増やしている。
米国のデビッド・バーンズ博士は、うつ病患者に10通りの思考パターンがあることを発見しました。
この悪い考え方を変えることでストレスを生み出すことを防ぐことが可能だといいます。
代表的なのは「物事を悪い方に考える」タイプで、小さなミスをしただけで全てが台無しと考えたり、良いことを無視してしまったりする。例えば、病気の10の症状のうち9が治っているのに「どうして一つだけ治らないのか」と考え込んでしまうタイプです。
「完璧主義」も当てはまります
。テストで100点とらないと気が済まないなど、何でもきちんとやろうとすることでストレスがたまる。
「しなければならない」とか「すべきではない」などと自分へプレッシャーをかけるタイプも該当します。
「他人を変えたがる」こともパターンの一つ。
誰しも己の成功体験を基に自分自身の考え方を「正しい」と考えがちだが、他人は別の考え方を正しいとみなしている。
そんな他人の常識を無理に変えようとするからストレスが発生する。夫婦であってもあてはまる。
結局、他人は変わらないから自分が変わるしかない。
ストレスを感じたらストレスにならない別の考え方を作り出す。
この積み重ねによってストレスは減らせるそうです。
悩まずに頭の切り替えを
「考えている」と「悩んでいる」は違います。
ずっと悩んでいる状態はストレスをためることになります。
深刻なのは、ストレスをため込んだ揚げ句、体を弱めてしまうことです。
内臓を包み込む筋肉が弱まると体の機能も弱まり、自律神経を乱す原因になる。
だから、ストレスをため込まないように、頭の中をリラックスさせて常に切り替えることがとても大切になります。
③ 自律神経に良い運動
体にゆがみがあると、筋肉が硬くなり体の機能が弱まって自律神経が乱れるもとになります。
ストレッチは、筋肉を緩めることで体のゆがみをとったりゆがみづらい体をつくったりするのに効果があります。
「歩く」「走る」「泳ぐ」「自転車をこぐ」は、いずれも体内に酸素を大きく取り込む有酸素運動で、しっかりと呼吸ができるため神経の新陳代謝を助ける脳脊髄(せきずい)液や血液を流れやすくする効果があります。
バランスよい動き(左右均等)をする運動がおすすめです
ゴルフやテニスのような体の片方だけを重点的に動かす非対称運動は、片方の筋肉を硬くしがちで体のゆがみをつくりやすい。
水泳や自転車のような左右均等にバランスのとれた運動をするのが理想です。
④ 質の良い睡眠
自律神経を整えるには、良い睡眠をとって体を回復させることも大切になります。
寝付きがよく、途中で目覚めないのが質の良い睡眠ですが、それには睡眠促進ホルモンであるメラトニンが体内に分泌されることが重要になります。
よく眠れない人はうまく分泌されていない場合が多いそうです。
メラトニンの分泌を促進させるのは、「幸せホルモン」と呼ばれる三大神経伝達物質のセロトニンが必要になります。
セロトニンが増えるとメラトニンも分泌しやすくなるからです。
ただし、セロトニンは体内で貯蔵できないため、食物から摂取しなければなりません。
⑤ 自律神経に良い食べ物
セロトニンを体内で生成する栄養素は、必須アミノ酸のトリプトファン、ビタミンB6、炭水化物の3つです。
トリプトファンは、牛乳・ヨーグルト・チーズなど乳製品や大豆製品に含まれています。ビタミンB6が豊富なのは、さつまいも。イワシからは、トリプトファンとビタミンB6の両方を摂取できます。炭水化物の代表は白米です。
なかでも特に良いのがバナナ。上記の3つの栄養素をすべて含んでいるうえ、手間もかからず簡単に補給できる。
これらの栄養素を十分にとることに加え、セロトニンの分泌には、「走る」「歩く」など一定のリズムを刻む運動や、コミュニケーションをとって他者との関わりを持つ「グルーミング」、午前6時半~8時半の朝日を浴びることが良い効果をもたらすといいます。
摂取したい栄養素としてはほかに、血管を修復する働きがあるオメガ3脂肪酸があります。くるみ、えごま油、亜麻仁油に含まれています。
反対に注意が必要な食べ物もあります。
自律神経を乱す原因になるのがカフェイン。砂糖の多い「甘い物」は、内臓を弱める。内臓の調子が悪い人は水分不足の人が多い。1日1.5~2リットルは必要です。
自律神経を整えることは、さまざまな病気の予防にもなります。これまで述べた5つのポイントをいろいろと組み合わせて正しい生活習慣をつくることが体をよくしていくことにつながります。
▶︎▷ ため息は体と心のバランス調整