手技療法は本当に科学的なのか?医学的エビデンスで読み解く
手技療法は本当に科学的なのか?医学的エビデンスで読み解く
執筆:さくら整体院 院長
「手で癒す」は迷信?それとも科学?
整体やマッサージなどの手技療法に対して、「気持ちいいけど科学的根拠があるの?」という疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、近年の研究により、手技療法には明確な生理学的・神経学的な効果があることが次々と明らかになっています。
今回は、その裏付けとなるエビデンスをもとに、手技療法が“科学的”である理由を解説いたします。
① 筋膜リリースと神経系への影響
筋膜(ファシア)は筋肉や内臓を包む結合組織で、第二の神経ネットワークとも呼ばれます。
近年、筋膜に刺激を加えることで、交感神経の抑制・血流改善・疼痛緩和などが起こることが、MRIや超音波で可視化されつつあります(Schleip et al.)。
筋膜へのアプローチは、全身の神経調整にもつながる“科学的施術”といえます。
② 手技による脳の反応とホルモン分泌
施術を受けると「リラックスする」「眠くなる」「気分が明るくなる」といった反応がよく見られます。
これらは脳の活動変化によるもので、次のようなホルモンが関係しています。
- ✔️ オキシトシン: 触れられることで分泌される“愛情ホルモン”。安心感やストレス緩和に寄与。
- ✔️ セロトニン: 自律神経を整え、心身のバランスをサポートする神経伝達物質。
- ✔️ エンドルフィン: 鎮痛・多幸感をもたらす“天然のモルヒネ”。
これらの変化は、fMRI(機能的MRI)でも確認されており、施術が中枢神経に働きかけていることの証明でもあります。
③ 触覚刺激と「ゲートコントロール理論」
慢性的な痛みに対して有効とされるのが「ゲートコントロール理論」。
強い痛みの信号を、別の触覚刺激(=整体の圧刺激)で“ブロック”できるというメカニズムです。
これは1960年代に提唱され、今も慢性疼痛の緩和理論として世界中で研究が続いています。
手技療法の「気持ちよさ」は、単なる感覚ではなく、神経学的に痛みを和らげる作用なのです。
④ 心と体をつなぐ「皮膚感覚」
皮膚は「外界との最大の接点」であり、全身の感情センサーでもあります。
最近の研究では、皮膚に触れることが脳の情動系(扁桃体や前頭葉)に影響を与え、ストレス・不安の軽減にもつながることが示唆されています。
つまり、整体での《手当て》は、心に触れる診療でもあるというわけです。
⑤ WHOも認める補完療法
世界保健機関(WHO)は、整体・カイロプラクティック・オステオパシーなどの手技療法を「補完代替医療」として公式に認定しています。
医療の主軸を支えるパートナーとして、統合医療(Integrative Medicine)の一翼を担う整体師の存在が、世界的にも認められつつあるのです。
◎ 整体は《理論と感性》の融合
整体は「勘や経験だけの世界」ではありません。
現代ではその効果が、神経科学・筋膜学・心理生理学などの分野から続々と証明されています。
そして、科学的根拠だけでは説明しきれない“人のぬくもり”や“安心感”が、整体の魅力をさらに深めています。
人の手だからこそ、伝わるものがある。
整体という技術は、これからも「科学」と「感性」の架け橋として、多くの人の心と身体に寄り添っていきます。

奈良市・JR奈良駅すぐ|さくら整体院 院長