いびき・睡眠時無呼吸と姿勢の関係|喉・舌・横隔膜を整体の視点からやさしく解説
「いびきが大きいと言われる」
「寝ているときに呼吸が止まっているらしい」
「朝起きても疲れが取れない」
このようなお悩みには、喉だけでなく、寝ているときの姿勢や首、顎、舌、胸まわりの状態が関係していることがあります。
ただし、姿勢を整えるだけで睡眠時無呼吸が治るわけではありません。整体やセルフケアは、呼吸しやすい身体づくりを助ける方法の一つとして考えることが大切です。
いびきは、喉が狭くなったときに起こります
いびきは、睡眠中に空気の通り道が狭くなり、舌や軟口蓋、喉の壁などが振動することで起こります。
ホースの一部がつぶれると、水や空気が通りにくくなるように、喉の空間が狭くなると空気の流れが乱れ、音が発生しやすくなります。
さらに気道が狭くなると、呼吸が浅くなったり、一時的に止まったりすることがあります。これが、閉塞性睡眠時無呼吸と呼ばれる状態です。
眠っているときは、舌や喉を支える筋肉の働きが弱くなります。そのため、仰向けで寝ると舌が喉の奥へ下がり、いびきや無呼吸が起こりやすくなる方もいます。
仰向けと横向きでは、呼吸のしやすさが変わることがあります
仰向けで寝ると、重力によって舌や喉まわりの柔らかい組織が後方へ移動しやすくなります。
そのため、仰向けのときだけいびきや無呼吸が強くなる方もいます。このような場合は、横向きで寝ることで呼吸がしやすくなる可能性があります。
ただし、すべての方に横向き寝が有効とは限りません。肩や腰が痛くて横向きになれない方や、横向きでも無呼吸が起こる方もいます。
家族に協力してもらい、仰向けと横向きのどちらでいびきが強くなるのかを確認してみると、ご自身の傾向を知る手がかりになります。
枕と首の角度も大切です
枕が高すぎると、顎が胸に近づき、首が強く曲がった姿勢になります。
この状態では喉のスペースが狭くなり、呼吸しにくくなる可能性があります。
反対に、枕が低すぎると首が反りすぎたり、肩や首に負担がかかったりすることもあります。
枕を確認するときは、次の点を意識してみましょう。
- 顎が胸に押し込まれていないか
- 首が強く曲がったり、反りすぎたりしていないか
- 横向きで頭が床側へ傾いていないか
- 朝起きたときに首や肩が痛くないか
- 枕を変えたことで息苦しくなっていないか
頭だけを高く持ち上げるより、必要に応じて背中から上半身全体をゆるやかに起こしたほうが、呼吸しやすい場合もあります。
ただし、枕を急に大きく変えると、首や腰に痛みが出ることがあります。少しずつ調整し、呼吸のしやすさと身体の負担を両方確認することが大切です。
猫背や首の姿勢は、いびきの原因なのでしょうか?
猫背や、頭が肩より前へ出た姿勢では、首や肩まわりの筋肉に負担がかかりやすくなります。
胸も広がりにくくなり、深く呼吸しづらいと感じることがあります。
ただし、「猫背だから睡眠時無呼吸になる」と単純に判断することはできません。
頭を前へ出し、少し顎を上げた姿勢は、本人が呼吸しやすい位置を探した結果として起こっている場合もあります。
そのため、見た目だけを基準に姿勢を無理に正すのではなく、姿勢を変えたときに呼吸が楽になるか、喉の圧迫感が強くならないかを確認する必要があります。
舌と顎は、喉の空気の通り道に関係しています
舌は、食事や会話に使うだけではなく、呼吸にも関係しています。
舌は喉の空気の通り道に近い場所にあるため、睡眠中に舌が後ろへ下がると、気道が狭くなりやすくなります。
特に、次のような状態では舌が後方へ移動しやすい可能性があります。
- 顎が小さい、または後ろに下がっている
- 普段から口が開いている
- 鼻づまりがあり、口呼吸になっている
- 舌を上顎へ持ち上げにくい
- 仰向けで寝ることが多い
睡眠時無呼吸の治療で、下顎を前方に保つマウスピースが使われることがあります。これは、顎や舌を前方へ移動させ、喉の空間を保ちやすくするためです。
ただし、市販のマウスピースを自己判断で長期間使用すると、顎関節やかみ合わせに負担がかかる場合があります。必要な場合は、医師や専門の歯科医師へ相談しましょう。
舌骨は、舌・顎・喉をつなぐ小さな骨です
舌骨は、顎の下にある小さな骨です。
舌や顎、喉の筋肉とつながっており、飲み込み、発声、舌の動きなどに関係しています。
首や顎のまわりが強く緊張していると、舌や舌骨の周囲が動きにくく感じられることがあります。
整体で首や顎まわりの緊張をやわらげることで、
- 喉のつまり感が軽くなる
- 顎や舌を動かしやすくなる
- 飲み込みや発声が楽に感じられる
- 呼吸がしやすく感じられる
といった変化が起こる可能性はあります。
ただし、舌骨を動かしたり、喉をほぐしたりするだけで、睡眠時無呼吸が治るということではありません。
また、首の前面には気管や血管、神経、甲状腺など、大切な組織があります。喉を強く押したり、自分で舌骨を無理に動かしたりすることは避けてください。
横隔膜と胸郭も呼吸を支えています
横隔膜は、胸とお腹の境目にある、呼吸を支える大切な筋肉です。
息を吸うと横隔膜が下がり、胸郭が広がることで肺に空気が入ります。
姿勢が丸くなって胸郭が動きにくくなると、呼吸が浅くなり、首や肩の筋肉を使って息をすることがあります。
胸や肋骨まわりが無理なく動くようになると、呼吸の負担が軽く感じられることがあります。
しかし、「横隔膜が硬いから無呼吸になる」「横隔膜をほぐせば無呼吸が治る」と単純に考えることはできません。
閉塞性睡眠時無呼吸では、横隔膜が呼吸しようと動いていても、喉の空気の通り道が閉じているため、空気が入らない状態が起こります。
胸郭や横隔膜へのケアは、呼吸を楽に感じやすくするための補助として考えることが大切です。
整体でお手伝いできること
整体では、睡眠時無呼吸そのものを診断したり、治療したりすることはできません。
一方で、身体の状態に合わせて、次のようなサポートを行える場合があります。
- 首や顎まわりの過度な緊張をやわらげる
- 胸郭や肋骨を動かしやすくする
- 呼吸しやすい寝姿勢を探す
- 枕の高さや使い方を見直す
- 横向きで寝やすい身体環境を整える
- 鼻呼吸を行いやすい姿勢を練習する
- 舌や口まわりを無理なく動かす練習を行う
- CPAPやマウスピースを使う際の首や肩の負担を軽減する
整体の役割は、睡眠時無呼吸を治すことではなく、呼吸を邪魔している可能性のある身体の負担を減らし、呼吸しやすい環境づくりを支えることです。
自宅で確認してみたいポイント
- 仰向けと横向きでは、どちらのいびきが強いか
- 枕が高すぎて、顎が胸へ押し込まれていないか
- 朝起きたときに、口や喉が乾いていないか
- 普段から鼻づまりや口呼吸がないか
- 寝ているときに、息苦しさを感じていないか
- 朝起きても疲労感が残っていないか
- 日中に強い眠気を感じていないか
録音アプリなどでいびきの音を確認することは参考になりますが、睡眠時無呼吸の有無や重症度を診断することはできません。
また、鼻づまりが強い場合は、口をテープで無理に閉じないようにしてください。鼻から十分に呼吸できない状態で口を閉じると、息苦しさが強くなる可能性があります。
医療機関へ相談したほうがよいサイン
次のような症状がある場合は、整体やセルフケアだけで様子を見ず、睡眠外来、呼吸器内科、耳鼻咽喉科などへ相談してください。
- 寝ているときに呼吸が止まっていると言われた
- 大きないびきの後、急に静かになる
- 息苦しさや窒息感で目が覚める
- 朝に頭痛がある
- しっかり寝ても疲れが取れない
- 日中の眠気が強い
- 運転中や仕事中に眠くなる
- 高血圧や不整脈がある
- 夜中に何度もトイレへ起きる
睡眠時無呼吸は、自分では気づきにくい病気です。
姿勢を整えて呼吸が楽になったと感じても、睡眠中の無呼吸や血液中の酸素低下が改善しているかどうかは、睡眠検査をしなければ分かりません。
すでにCPAPや医療用のマウスピースを使用している方は、整体やセルフケアで調子がよくなったと感じても、自己判断で中止しないようにしてください。
喉のつまり感がある場合の注意点
喉のつまり感は、首や顎まわりの緊張によって感じることもありますが、すべてが筋肉や姿勢の問題とは限りません。
次の症状がある場合は、早めに医療機関へ相談してください。
- 食事や水分を飲み込みにくい
- 飲食時に繰り返しむせる
- 声のかすれが長く続く
- 首にしこりや腫れがある
- 呼吸時に変わった音がする
- 原因不明の体重減少がある
- 舌や顔の動きに左右差がある
まとめ
いびきや睡眠時無呼吸には、喉だけでなく、次のような身体の状態が関係しています。
- 仰向けや横向きなどの寝姿勢
- 枕の高さ
- 首や顎の角度
- 舌や舌骨まわりの動き
- 胸郭や横隔膜の働き
- 鼻呼吸や口呼吸の状態
整体やセルフケアは、首や顎、胸まわりの負担を減らし、呼吸しやすい身体環境をつくるための方法の一つです。
一方で、呼吸が止まっていると言われた場合や、日中の眠気が強い場合は、姿勢だけの問題だと考えず、医療機関で睡眠検査を受けることが大切です。
整体と医療の役割を上手に組み合わせながら、安心して眠れる身体環境を整えていきましょう。
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