脳腸相関
脳腸相関とは、生物にとって重要な器官である脳と腸がお互いに密接に影響を及ぼしあうことを示す言葉です。
例えば多くの動物では、ストレスを感じるとおなかが痛くなり、便意をもよおします。
これは脳が自律神経を介して、腸にストレスの刺激を伝えるからです。
逆に、腸に病原菌が感染すると、脳で不安感が増すとの報告があります。
腸と脳は相互に指示を出し合う関係
① ストレスを感じる
② 腸管運動の異常、腹痛が起きる
③ 悪玉菌が増える、腸内細菌の種類が減る
④ さらにストレスを感じやすくなる
場合により、負のスパイラルに陥ることも
ストレス→ホルモン分泌への影響(脳腸相関)
自律神経
自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があります。 交感神経は主に活動している時に働く神経で、副交感神経は寝ている時に働きリラックス効果をもたらします。
セロトニンはこの2種類の神経を調節する働きを活性化させることにより心のバランスを整えます。
▼ セロトニンの不足症状
めまい・頭痛
セロトニン不足はめまいや頭痛などを引き起こします。
いわゆる片頭痛も、セロトニン不足が原因です。
セロトニンが不足すると、三叉神経が興奮しやすくなります。三叉神経とは、顔の感覚を脳に伝える神経です。
三叉神経の興奮は脳血管の炎症を引き起こします。
結果として、頭痛が起こりやすくなるわけです。
頭痛に伴い、めまい・吐き気などの症状が出ることもしばしばです。
うつ症状
セロトニンは精神を安定させる物質です。
不足すると、気分が落ち込みやすくなります。
いわゆるうつ状態に陥ってしまうわけです。
うつ症状とは、たとえば以下があります。
- 気分が晴れない
- やる気がでない
- 疲れやすい
- 眠れない
実際にうつ病を発症している方は、脳内のセロトニン量が少ないと指摘されています。
不眠症
セロトニン不足が不眠症を招くのは、メラトニンが不足するためです。
メラトニンは眠気を催すホルモンで、夜間には自動的に分泌量が増えます。
メラトニンはセロトニンから作られます。
そのため、原料のセロトニンが不足すると自動的にメラトニンも不足してしまうわけです。
具体的には、昼間に分泌されるセロトニン量が少ないと、夜間に分泌されるメラトニン量も少なくなります。
結果、眠気を感じにくくなるため、不眠症が起こりやすくなります。
不安障害
不安障害とは、不安・緊張によって、日常生活に大きな支障が出ている状態です。
たとえば以下のような疾患があります。
パニック障害 | 突然強い不安に襲われ、動悸・息切れなどのパニック状態に陥る |
強迫性障害 | 強迫観念にとらわれたように、1つの行為を繰り返す(例:戸締まりを何度も確認する) |
社会性不安障害 | 他人の注目を集めることで緊張し、パニック状態になる |
全般性不安障害 | 日常生活全般に対して極度の不安を感じる |
セロトニンはストレスを軽減して不安・恐怖を和らげる作用があります。
そのため不足すると、不安障害を起こしやすくなります。
出典:厚生労働省「不安障害 – ストレスとこころ」
自立神経失調症
自律神経失調症とは、自律神経のバランスが崩れた状態です。
自律神経は交感神経と副交感神経から成り立ちます。
交感神経は、脈拍・血圧を上昇させて身体にエンジンをかける神経系です。
対して副交感神経は、脈拍・血圧を下げて心身を休息させます。
セロトニンには自律神経のバランスを調節する作用があります。
セロトニンが不足すると自律神経の調節がうまくいかなくなるため、結果としてバランスが崩れやすくなるわけです。
自律神経失調症の症状には以下があります。
- めまい・耳鳴り・頭痛
- 動悸・息切れ
- 倦怠感
- 下痢・便秘
- うつ症状
- いらいら
出典:厚生労働省「自律神経失調症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)」
自律神経を整える快眠サイクル
トリプトファン→日光浴→セロトニン→メラトニン→副交感神経(リラックス)→心地よい睡眠
トリプトファン
トリプトファンは、バナナ・牛乳・大豆・玉子・魚などに多く含まれると言われています。
ごはんやパンといった炭水化物と一緒に摂取されるとより吸収されやすくなります。
日光に当たることにより吸収されたトリプトファンがセロトニンとなり、そのセロトニンが夜の適切なメラトニン(睡眠ホルモン)の生成へとつながっていきます。
セロトニン
セロトニンはメラトニンの原料になります。
うつ病の薬(SSRIなど)は、脳内のセロトニンを増やす作用があるので、不眠が改善するのはこういった作用かもしれません。
冬季は日照量の減少によって脳内セロトニンが減り、メラトニンが乱れる。
セロトニンを増やし、メラトニンを調整することが冬季うつへの対処法となります。
ウォーキング🚶♂️やストレッチ、ヨガ🧘♀️など有酸素運動もおすすめです。
メラトニン
メラトニンとは、「睡眠ホルモン」と呼ばれ、自然な眠りへと導くホルモンです。
メラトニンが分泌されることによって、末梢血管が広がり、体内の熱が外に放出され体温が下がることによって、眠くなります。
呼吸や血圧を安定させ、副交感神経を優位にする働きがあります。
それによって、身体はさらに眠りに適した状態になります。
メラトニンはアンチエイジングとも密接な関わりがあり、元気で若々しくいるためにも欠かせないホルモンです。